#パプアニューギニア #1993年 #地球市民 #かけだし教師 #みうらたかし
これもニューギニア大学で駆け出しの日本語教師を何とか頑張っていたころの話です。夕方の入門のクラスにはニューギニア大学の学生だけでなく、公開講座として一般の方の受講も認めていました。ニューギニアの人だけでなくインドやインドネシア、オーストラリア、ガーナなど仕事やなんらかの事情でニューギニアの地に住んでいる人達が日本語を学びに来ていました。ニューギニアで国際色豊かで、興味深かったことを覚えています。
初級のクラスなので、初めのころは自分のこと、名前や職業、家族、どこの国から来たのか、などを話す授業をやっていました。その日は教科書に出ている「〇〇人」という言い方を学習し、参加者みなさんで自分はどこの国から来たかを話す練習をしていました。
「みうらさんはなにじんですか。」「わたしは日本人です。」→「マンディさんはなにじんですか」「わたしはパプアニューギニア人です。」といった感じでチェーンドリルをしていました。
「マリアさんはなにじんですか。」
学習者の一人が隣に座っていた、ガーナから来ていたマリアさんに聞きました。するとマリアさんは、「わたしはシチズンオブザワールド人です。」と、にこにこ笑いながら胸を張っておっしゃったのです。
日本語教師になりたてのわたしは最初少し戸惑いましたが、彼女の意図は明らかだったので、
「そうですか、シチズンオブザワールドは地球市民といいます。」といって、みんなで「地球市民」という言葉を練習しました。
1990年代の話ですが、わたしはそれまで世界中にいろいろな人が、いろいろな立場で、いろいろな生活環境で、いろいろな思いを持って暮らしていることはあまりよく意識していなかったと思います。
このガーナから来ているマリアさんは、おそらくそんな私の日本語のクラスに参加してみて、日ごろから「どうしてだろう」と感じることもきっとあったのでしょう。それが「シチズンオブザワールド人です。」という反応になって表れたんだと思います。
駆け出しの未熟な日本語教師にとって、とても大切な忘れられない瞬間でした。
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