#タイ #みうらたかし
タイの中部にある地方大学で教えていた時のこと。日本語での自分の呼び方についての話で、ふつうは「わたし」を使うが、友達同士などでは、女の人は「あたし」を、男の人は「ぼく」という言い方をする人も多くいる、などと紹介した。すると学生の一人が「せんせい! カッカナーン(仮名)さんは、何を使えばいいですか。」と質問した。カッカナーンさんは、いわゆるトランスジェンダー、体は男性だが、気持ちは女性かもしれない、といった学生だった。わたしが何と返事をしようかと思っていると、当のカッカナーンがとても明るい声で「せんせい!「ぼくし」はどうでしょうか。」と言ったのだ。「ぼく」の末尾に「あたし」の「し」を追加したのだろう。ほかの学生たちはそれを聞いて、「なるほど、それいいねえ」といいながら、うなずいていた。わたしはただにこにこしているばかりであった。
タイという国は、その理由は定かには知らないが、こういったトランスジェンダーの方々が、自分を隠すことなく生きていける社会であるように、私は感じている。町のあちらこちらで明らかにそうと思われる人々が、違和感なく暮らしているのをよく見かける。周りの人達もほんとに普通である。そういう社会に希望をもって世界中から人が集まってきているという話も聞いたことがある。
大学の教室にもいつも何人かはそういう学生がいる。教室の中でも、ご本人も周りの学生たちも、特に何の違和感もなく、日常を過ごしている。素敵な社会だな、と思ったことを思い出した。
ほんとですねえ。タイって昔から多様性を受け入れやすい社会なのかもしれませんね。トランスジェンダーじゃない人がトランスジェンダーの話をするとき、笑いながら話しますよね、でも、あれって日本人がそうするときのような意地悪な笑いじゃなくて、親しみのこもった笑いですよね。
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