#アメリカ #1980 #ネイティブvsノンネイティブ #ご当地語 #HOSHI TORU
ネイティブが絶対使わない教科書英語の筆頭といえば“What
time is it now?”の右に出るものはない…と言われている。これを私は実際のネイティブスピーカーとのコミュニケーション場面で使ったことがある。例によって、今を去ること40年前、アメリカはオレゴン州のポートランドで一人暮らしを始めたころのことである。
ところで、電子時計やスマホが当たり前の現在では利用することはまずないだろうが、皆さんは電話の時報サービスというのをご存じだろうか。日本ではダイヤル117を回すと(押すと)「…ピッピッピ、ポーン、〇時〇分〇秒をお知らせします」というアナウンスが10秒刻みで一日24時間、一年365日、1秒も休まず流れている。このサービスは半世紀以上も前から電話回線を通じて行われていたが、電波時計のある現在でもまだ続いている。(ちなみに117番は時報、177番は天気予報なので念のため。)昔はこの時報サービスを聞きながら、自分の腕時計の時刻合わせをしたものだった。
さてアメリカ生活を開始した最初の週に時刻合わせをしようと思い、「この州では時報は何番にかければよいのだろう」と、イエローページを開いてみた。ご承知のように(?)広いアメリカでは州によって公共サービスのシステムが違うのと、日本よりも何十年も早く公共サービスの民営化も起こっていたらしい。その結果、電話帳で調べた時報サービスの番号は日本のように3桁ではなく、一般の電話番号のように市内局番から始まる8桁ぐらいの数字で、桁が多いだけに間違いやすい。しかも当時は「♪ダイヤル回して」かける式の電話機であったから、なおさら間違いやすい。かくして、私が回した番号の相手先は、時報サービスなどではなく、どこかの企業の事務所であった(らしい)。相手の声は、(おそらく)企業名や部署名のあと営業的な口上をペラペラ述べたらしく、もともと対話をする気ゼロの私には、何のことやらさっぱり聞き取れなかった。私は「失礼、番号を間違えました」と英語で言いたかったが、その言葉が思いつかない。それもそのはず。そのような表現は私の頭の中にインプットされていなかったのだ。ただ、だまって電話を切るにはあまりに良心の呵責があった。相手もビジネスとはいえあんなに愛想の良い声で応対してくれているのに…。そこで私が咄嗟にとった行動はというと、当初のミッションを完遂することであった。つまりこの相手に時刻を聞いてしまえば一石二鳥ではないか。そのとき私の口から出た言葉が例の“What time is it now?”であった。相手は、一瞬あっけにとられた様子で、3秒ほどの沈黙の後、たぶん“キミは時間を知りたいのね?”と言う意味の言葉を半ば悲しそうな声で念押しした後、時間を教えてくれた。まさにノンネイティブがネイティブを3秒間黙らせた「勝利の瞬間」であった(?)。ちなみに、教えてもらった時刻は、受話器を置いたとたんに忘れ去ってしまった。
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